ECの料金設定のコツは?値上げや販促のポイントも解説!
目次
EC経営では商品の料金設定が売れ行きに大きな影響を及ぼします。商品価格は値上げをしたり、値下げによる販促をしたりしたい場合も多いでしょう。この記事ではプライシングの基本と値上げするタイミングや販促のポイントをまとめました。景表法に違反しないための考え方もご紹介するので、ECの料金設定についてぜひ考えてみてください。
ECの料金設定の基本
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ECで販売する商品の料金設定は売れ行きにも利益にも直結します。プライシングの仕方によってECの成功の可否が分かれるといっても過言ではありません。ここではEC経営における料金設定の基本を紹介します。
【前提】型番商品・非型番商品で料金設定の考え方は違う
ECで販売する商品が型番商品か非型番商品かによって料金設定の考え方には違いがあるので前提としてまず把握しておく必要があります。他のECや実店舗でも販売されている型番商品はユーザーがどの店舗でも同じ商品を購入可能です。そのため、競合との料金やサービスの差が売れ行きを大きく変える要素になります。
一方、非型番商品の場合にはユーザーはまったく同じ商品を他で買うことはできません。ユーザーは類似商品がある場合には価格や性能、スペックなどを比較して購入する商品を選びます。非型番商品は競合との差別化が重要で、性能的に優れていてユーザーニーズに合っていれば高い価格設定をしても売れ行きが伸びる可能性があります。ただ、類似商品の相場による影響も受けるのは確かなので競合調査をして価格を決めることは必要です。
市場価格・競合他社の価格から決める
ECで価格設定をするときには市場価格・競合他社の価格から決めるのがシンプルで効果的です。ECでは競合サイトでの販売価格をオンラインで簡単に確認できるため、ユーザーは比較してお得なところで買おうとします。型番商品では単純に安いショップで買う場合がほとんどです。特にECモールでは価格比較が簡単なので、最安値でないと売れにくくなります。非型番商品の場合にはネットショップで販売されている競合商品の価格を調査して目安にするのが大切です。
原価から料金設定をする
料金は原価から計算するのが合理的な方法です。仕入・生産・輸送などにかかる原価を算出し、原価率を設定して販売料金を決めます。販売料金は原価を原価率で割ることにより計算可能です。例えば、原価1万円の商品価格の50%の原価率とする場合には2万円で販売します。原価と原価率を決めれば一律の方法で簡単に料金を決められるので簡単な方法です。ただ、競合との価格差を考慮しないため、売れないリスクや利益率が低くなるリスクがあります。
他の販売商品との兼ね合いで決める
自社のECで販売している商品との兼ね合いで料金設定をするのも基本的な方法です。類似の商品を販売している場合にはグレードの違いによって料金を決めたり、一律料金にしたりする方法があります。ハイエンドモデルは1万円、ミドルエンドモデルは5,000円、ローエンドモデルは2,000円という形にするとユーザーが料金設定について納得してくれます。
また、同じ仕様の製品の色違いやサイズ違いの価格を一律で同じにすると、全体として売れやすくなるでしょう。季節限定の味やフレーバーの違う食品や飲料を販売するときにも、通常商品と価格を同じにしたり、若干価格を上げて付加価値があることをユーザーに認識してもらったりするといった販促戦略を立てられます。
低価格から始めて値上げする
商品価格をあえて低いところから始めて販売を開始してシェアを取ってから値上げする料金設定方法もあります。市場での知名度も人気もない状況では売れないリスクがあるでしょう。まずは市場獲得のために価格を抑えて、人気になったら徐々に価格を上げて利幅を増やしていくのは賢い戦略です。ブランディングをスムーズに進められる可能性があるのが魅力ですが、自社体力がないとコストがかさんで失敗するリスクがある点には注意する必要があります。
ECの料金設定で知っておきたい販促のコツ
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ECでは料金設定によって販促効果を引き出せる場合があります。料金のわずかな違いで売れやすくなることもよくあるので、料金設定による販促のコツを紹介します。
心理効果を活用する
心理効果を使って販促するのは効果的なアプローチです。よく知られているのは端数効果です。価格を10,000円にするよりも9,800円にした方がかなりお得に感じる人が多いので売れやすくなります。楽天市場のお買い物マラソンや楽天スーパーセールでは税込1,000円以上の購入で複数ショップの買い回りをするとユーザーのポイント還元率が上がるので、980円にするよりも1,000円にした方が売れやすいでしょう。
全品1,000円といった均一価格での販売や、複数商品のセット価格での販売もユーザーの購買意欲を高めるのに効果的です。グレードを数段階に分けて、Aセット・Bセット・Cセットのように内容と価格を変えたセット商品を用意するのも売れ行きを伸ばす方法として優れています。お得に感じさせる心理効果を料金設定に盛り込むと売れるECを経営できるようになります。
手数料・送料を加味する
ECで販促をするときには手数料や送料を加味して料金設定を考えるのが大切です。ECモールに出店すると出店料や販売手数料、決済手数料やシステム利用料などの負担があります。さらに送料の一部または全額を負担することもあるでしょう。手数料や送料を加味して利益になるように料金設定をするのは必須です。むやみに安くしてしまうと赤字経営になるリスクもあるので気を付けましょう。
また、送料の見え方の工夫をするのも重要です。ユーザーにとって送料無料商品はお得に感じられます。送料を商品価格に上乗せしていても、送料はポイント還元の対象にならないのに対して、商品価格ならポイント還元を受けられるのでお得と解釈してくれることもあります。例えば、商品代金3,000円+送料880円とするよりも、商品代金3,880円で送料無料とするとユーザーは880円分に対するポイントバックを受けられるので魅力的です。このような工夫をするだけで販促に成功するチャンスがあります。
適正価格をアップデートする
商品の適正価格は変わっていくのでアップデートしましょう。今は1,200円で売れていたとしても、競合店が1,180円で売り始めたら突然売れなくなる場合があります。類似商品の登場によってニーズが変わり、安くなければ売れない状況になることもあるでしょう。一方、原価の高騰によって競合商品の価格が上がった場合には、商品価格を上げても売れる可能性があります。市場や物価によって適正価格は異なるので、定期的に料金設定を見直すのは重要です。
ECで値上げをするときのポイント
ECでは売れるようになった商品の値上げをして利益を増やしたいと考えることがよくあります。ただ、むやみやたらに値上げをすると売れなくなるリスクもあるのは確かです。ここでは値上げを成功させるためのポイントを紹介します。
物価高やコストアップに紐づける
物価の高騰やコストアップのときに値上げをするのはユーザーの理解を得やすいのでおすすめです。原油高で運送コストが上がった、円安で輸入資材が高くなったといった理由で値上げせざるを得なくなったという説明ならユーザーは納得してくれます。全体的な物価高が煤でいるときなら特に人気を損なうことなく値上げを進めることが可能です。
利益率を再考して値上げする
値上げをするときには利益率を考えるのが重要です。値上げを検討するときには売れてもあまり儲からないという問題が発生しているでしょう。いくらの利益を得られるようにすれば良いかを原価から計算して導き出すのが大切です。利益率が何パーセントあれば良いかを具体化して価格を再考してから値上げをしましょう。繰り返し値上げをするとユーザーから信用を失うリスクがあるので、一回値上げをしたら当面は固定するのが無難です。
値上げ耐性を考慮する
商品の値上げ耐性を考慮して、値上げすべきか据え置きにすべきかを検討するのは重要です。類似商品が多くて価格帯が広い商品は値上げ耐性が比較的高く、多少値上げをしたとしてもユーザーが買ってくれる可能性があります。しかし、型番商品で他のショップでの価格が変わっていない場合には、値上げすると買ってくれなくなります。オリジナル商品でないと値上げをするのは困難です。ポイントサービスなどでよほど有利になれるものがないと難しいと考えた方が良いでしょう。
ECの料金設定で重要な景表法対策
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ECの料金設定では景品表示法に抵触しないように配慮することが必要です。景表法では不当表示によるユーザーの誘因を防止するための制限・禁止事項を定めています。ECの料金設定で失敗すると違法になる場合があるので、押さえておいた方が良いポイントを紹介します。
景表法の不当表示とは
景表法の不当表示とは、簡単に言えば実際のものよりも過度に良いものだとしたり、事実とは異なる表示を通して他よりも良いと示したりすることです。不当表示の典型的な形式には2つあります。
優良誤認表示
優良誤認表示は商品の効果や効能、品質や機能などについて根拠のない内容や虚偽の内容を表示することです。効果があると表示していても何も科学的に示されていない、特定の品質を持っていると表示していても品質管理ができていないといった場合には優良誤認表示になります。
有利誤認表示
有利誤認表示は購入すると有利な商品だと表示している内容に偽りがあるものを指します。「期間限定商品」とずっと表示したままにしたり、「期間限定割引」と表示して期間を延長し続けたり、「個数限定商品」と表示してその個数以上売れてもまだ販売を継続したりすると有利誤認表示です。
二重価格表示
二重価格表示は有利誤認表示の一種です。割引価格のように見せているだけで、実際には割引していない不当表示が二重価格表示に該当します。例えば、「通常価格が1万円のところ、当店では60%OFFの4,000円で販売中」といった表記は二重価格表示になる可能性があります。他店で1万円で販売されている、最近まで1万円で販売していた実績があるという状況があれば問題はありません。しかし、特に1万円という価格に根拠がなく、直近販売実績もない場合には二重価格による不当表示になります。
景表法における販売実績とは
ECで料金設定を下げて販促をするときには景表法で認められる販売実績があることが重要です。景表法では以下の条件を満たした場合には販売実績として認められます。
- 過去8週間のうち4週間以上
- 8週間未満の販売期間の場合には販売期間の過半かつ2週間以上
- 最終販売日から2週間以内
つまり、セールなどで安売りするには少なくとも2週間以上は標準の価格で売った実績が必要です。最終販売日から2週間以内という制限があるため、セールで値引きを始めてから2週間経過すると不当表示になります。販売実績についてはシビアに考えて、ECの販促や料金設定を考えることが必要です。
まとめ
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ECでは料金設定によって利益率の向上も販促も実現できる可能性があります。適正価格を見出して設定するのがEC運営では重要なポイントです。ただ、景表法違反にならないように値下げをしたり、ユーザーが不満を抱かないように値上げしたりする対応が必要です。ECでは競合の料金設定をユーザーが簡単に比較できるので、臨機応変な対応をしていかなければなりません。基本的なプライシングのコツを押さえるだけでなく、状況を見て適切な対応を進める体制作りもするのがおすすめです。
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